菅原道真公と武芸
菅原道真公と武芸「弓」のエピソード(伝承・絵巻の物語)
鎌倉時代の絵巻や縁起(天神の物語)では、道真公は「学び」だけでなく、武芸にもすぐれた人として描かれます。なかでも有名なのが、都良香(みやこのよしか)邸で弓を試され、次々と的の中心を射抜いたという話です。周囲が半信半疑で見守る中、道真公は落ち着いて弓を引き、見事な腕前で人々を驚かせた――そんな場面が物語として語られています。
この種の話は、国宝級の「北野天神縁起絵巻」など、天神信仰の世界で大切に伝えられてきた題材の一つです。
ただし研究者の中には、この「良香邸弓遊」は象徴的な説話で、史実とは言い切れないという見方もあることが知られています。
だからこそこの物語は、「百発百中」という出来事そのもの以上に、学びも武も、心を正しく整えることから生まれる
──そんな道真公の姿(文武両道の理想)を、わかりやすく伝える物語として読まれてきたのかもしれません。
宮地天満宮の初天神「居合道の演武」と子どもたちの刀体験
宮地天満宮の初天神では、居合道の剣士たちが来てくださり、演武を奉納してくれます。さらに子どもたちには、**剣の振り方(基本の動き)**をやさしく教えてくれる時間もあります。
これは「強さを見せる」ためではなく、姿勢を正し、呼吸を整え、礼を学び、集中するための学びの場。まさに、道真公が大切にされたとされる「まっすぐな心」と、武の道の美しさが重なる瞬間です。
学びの神さまの前で、体を動かし、心を整える――初天神は、子どもたちにとっても大人にとっても、一年のはじまりを清々しく踏み出す日になります。

